縫うための穴を空ける その2

レザークラフト講座 STEP2-6-2 「縫うための穴を空ける その2」

前回の「縫うための穴を空ける その1」で説明したように、レザークラフトにおいて必須となる穴を空ける作業の続きです。
今回は菱目打ちではない、他の道具での穴のあけかたの解説になります。
菱目打ちをガンガン打つ様な音が出せない環境の場合は、こちらの方法で穴を空けます。
使うのは、菱ギリ菱目パンチの2種類になります。

レザークラフト講座 「菱目パンチで穴を空ける」
菱目打ちが使えない場合(深夜の作業)や、場所的に菱目打ちを打つのが困難な場所などは菱目パンチを使う事が多いです。
レザークラフトをやっていると、どうしても道具を使い分けていかなければいけないため、まず道具を揃えるお金がかかるってところがハードルの高さの原因の一つになっていると思うのですが、この菱目パンチもその一つで、値段が4000円近くします。
さらに言えば、一本目、二本目、三本目、四本目と目の数が違うパーツを使い分ける上に縫い目のピッチも数種類あるため全種類揃えるとなると相当な値段になってしまいます・・・
ってことで、うちは必要なものだけ(4mmピッチの二本目と三本目)買いました。

菱目パンチの使い方はいたって単純で、前回の菱目打ちとほぼ同じです。

菱目パンチで穴を空ける
こんな感じで、上下に目打ちが付いている状態なので単に革を挟んでエイッと握るだけで簡単に穴があきます。

しかし!

そんな単純で簡単と思いきや・・・
そこまで厚みのある革でない場合は歪みます。さらに言えば、菱目打ちでも言える事ですが銀面と床面で穴の位置が微妙にズレて斜めに穴が開く事もあるのでしっかり革を押さえながらじゃないと綺麗な穴はあきません。
もっと言うと、空いたと思ってても実際は表と裏で各穴があいてるだけで、中でつながってない(貫通してない)ってことも考えられるので一度空けたら不安な時は菱ギリで一回穴を通して見るのも一つの手です。

レザークラフト講座 「菱ギリで穴を空ける」
上記の菱目パンチはとても楽ですぐに作業が出来ますが、菱目打ちほど綺麗な穴があかないので、後々縫い合わせた際に糸目がちょっと美しくないなーって感じる事も多いかも知れません。
とはいっても、厚みのある程度ある場所を縫えば縫いの力次第では革に糸が埋まる程度に縫うと綺麗になりますがそうでない場合はなんかのっぺりした感じになってしまったりすることも・・・

そんな時は、一応菱目打ちと同じサイズ、同じ規格として売っている菱ギリを使います。
菱ギリはキリっていうくらいなんで、一本目しかありませんがレザークラフトでは、これがないと始まらないんじゃないかってくらい実は初期ツールでもあり、ずーっと使っていく心強い味方でもあるわけです。

すぐ折れるし、砥がないとすぐ刺さりにくくなるし・・・
という部分を差し置いても、利便性はかなり高いので持っておくと便利です。
ストックが常に2-3本あるようにしておいてます。

菱ギリの使い方としては、菱目打ちと同じで、ネジ捻なんかで引いた縫い線の上をただブッ刺して行くだけの簡単なお仕事・・・と思ったら意外とそれだけでは綺麗な穴があかない(感覚とか)のでちょっとそれに伴う補助ツールみたいなものもあったりします。
うちは持ってないんですが、ステッチングルレットってのがあって、これは普通のルレットと同じなんですがギザギザ円盤がコロコロ通った道筋に等間隔で点を打ってくれるっていうツールです。
が、等間隔に点打たれても・・・縫い合わせる部分で合わない場合は3mmピッチから2.5mmピッチに変更して間隔の調整なんかが出来なくなっちゃうのでは?
と思って使ってません(笑

なので、結果としては菱目打ちを使用してます。
それは前回と同じ、縫い線の上にまず菱目打ちをちょっとだけ押し込んで空ける穴のガイドを付けておいて使います。

菱ギリで穴を空ける目印をつける

こんな感じで、縫い線の上に等間隔で点が打たれました。
これをもとに菱ギリで穴を空けていきます。

菱ギリで穴を空ける

基本は握ったらまっすぐ垂直に一気に刺すという感じです。
躊躇したり、ちょっと角度付くとあまりうまくいきません。
というより、財布なんか作った時にこれが慣れてないと表面と裏面で穴がガタガタになって凄く残念な感じになってしまいます。
一気に菱目打ちで貫通させてしまうのであれば、そこそこ揃ったりしますが、上の1枚だけ菱目打ちで空けておいて2枚目貼り合わせた部分を菱ギリで・・・っていう方法を使う場所などはもしかしたら綺麗にあかないかもですね。

下に敷いてるのは、これゴム板ですがビニプライとかコルクボードをオススメします。
下が硬いと革貫通した時に力入りすぎてグニっと曲がります。
最悪折れます。
うん。

レザークラフト講座 「それぞれの穴の違い」
前回から、菱目打ち、菱目パンチ、菱ギリと3種類の穴あけ道具について説明しましたが
じゃぁ実際何を使えばいいんだよ!?って事になったりすることもあるんで空けた穴の違いを見てみると縫う場所や用途に合わせて選んで見るのもいいかもしれません。

空けた穴の違い

上から順に、菱ギリ、菱目打ち、菱目パンチです。
こう見ると、穴の形も間隔も菱目打ちが一番綺麗に空いてるように見えます。
菱ギリに関しては穴の形は綺麗に空いても、ピッチを揃えるには慣れとかが必要だったりします。
で、肝心な菱目パンチですが、こう並べてみるとあまり綺麗には見えないんですよね。
ただ、これはサンプルで使った革が2mmのヌメ(床処理無し)なので貼り合わせた場合や厚みが出てくると菱目パンチも綺麗に穴があくようになったりします。
貼り合わせにボンドなどを使ってると硬さも出ますので。
これで、実際縫ってみるとまた糸の見え方も変わってくるのでより比較材料にはなるかと思いますがそれはまた別の機会にでも。

レザークラフト講座 「それぞれの道具の使い分け」
さて、肝心な部分になりますが使い分けをどうすれば?というところがあると思います。
そこで一般的ではないかもしれませんが、自分でどう使い分けているかを説明します。

・菱目パンチ
縫いしろ2mm以下のヘリなど、菱目打ちを打つと伸びてしまったり破けの原因になりそうな場所など
貼り合わせ後に下敷きを挟むスペースが無い場所に穴を空ける場合(マチ部分など)
一般的には夜中の作業や、マンションなどで目打ちを打つと騒音になってしまう時に使うっていうのもあります。

・菱ギリ
基本、万能です。
万能がゆえに疲労も激しいのかすぐ曲がってすぐ折れて消耗品になってしまいがちです。
どんな場面でも穴を空ける時には活躍する便利ツールで、たとえ下敷きが無かろうと穴は空けられます。
事前にしっかり砥いでおく必要がありますが、駒合わせ縫いや拝み合わせ縫いなど特殊な縫い方の際に菱ギリが空を刺す事で貫通させて縫って行く事も可能です。
後は菱目打ちには困難な場所、垂直に刺せない場所(斜めに刺さないといけないものを作る場合)などにかなり有効ですが
本来垂直に刺すように作られているため、力のかけ具合では即効曲がったり即効折れたりと大変です。
ちなみにサイズが複数存在するのと、先がとがったプロ用があるので注意です。
更に超プロ用はグリップとニードルが別れてるタイプもあります。
強めで折れにくくて先を砥いで使います。

上記のものを考えると、基本菱ギリ+菱目打ちで対処できるのでもっぱら菱目打ちと菱ギリを使って穴を空けています。

レザークラフト講座 この工程で必要な道具
・菱ギリ
・菱目パンチ
以上があれば問題ありません。
菱ギリの代わりに100均などで売ってる目打ちなどでも穴は空けられますが、縫いあがりを綺麗にするには菱ギリが必要です。
また、ヘリ部分に穴を開けるのが難しいという方は菱目パンチがあれば楽々に穴が空けれますし、音も出ないためとても人気があります。
価格面と相談しながら検討してはいかがでしょうか。

■革製品に関しての特性、ご注意などは【紹介・ご注意】をお読みください。
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カテゴリー:レザークラフト虎の巻

2013/12/16

コメント / トラックバック 2 件

  1. towface より:

    いつも楽しく拝見させてもらってます。とても勉強になります。一つお聞きしたいのですが、菱目パンチを買おうと思っています。厚みはどれくらいまで穴あけ可能ですか?8mm厚の革の穴あけできますでしょうか?

  2. かぼちゃへっず より:

    コメントありがとうございます。
    菱目パンチですが、8mmであればあけられるかと思います。
    2mmを3枚重ねた6mmくらいは平気であけられましたが、上下の歯がくの字型にかみ合うようにできてる為か厚みが増すほど刺さる角度が斜めに刺さってしまいますが裏と表での穴には影響は出ないと思います。

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